WEEK 04

デジタルデザイン入門
― VUCA時代の羅針盤を手にする ―

「決まった地図がない時代」を歩く皆さんに、最初の羅針盤を渡します。VUCA時代に価値を生むのは、与えられた問題を効率的に解く力だけではありません。本質的な問いを立てる力、すなわち「問題設定」の力を、デジタルデザインの2つの意味と5つの機能の中から学んでいきます。

所要:約95分 形態:座学 + Google Forms + ペアワーク 事前学習:本ページの内容を一読 事後学習:本ページ末尾の参考リンク

本日の到達目標

  • VUCAという言葉の4要素を、自分の言葉で説明できる。
  • デジタルデザインの「2つの意味」を、羅針盤とエンジンの比喩で説明できる。
  • デジタルデザインの「5つの機能」を、身近な事例に当てはめて考えられる。
  • 「問題解決」と「問題設定」の違いを、自分のキャリアの視点で語れる。

本日のアジェンダ(95分)

0:00〜0:03オープニング・前回の振り返り
0:03〜0:28講義①:10年後、何を生み出す人になるのか/VUCAと価値の源泉の変化
0:28〜0:35Google Forms:「デジタル化されて便利になったこと/不便になったこと」スマホから回答 → 回答スプレッドシートをプロジェクター投影、教員が上位コメントを読み上げ
0:35〜0:60講義②:デジタルデザインの定義/2つの意味/5つの機能/連携事例
0:60〜0:80ペアワーク:「5つの機能を、自分の関心業界に当てはめる」隣2名でペア/7分言語化+5分共有
0:80〜0:90全体共有・教員講評
0:90〜0:95小テスト・まとめ・次回予告

講義①:価値の源泉が変わる時代

25分

10年後、皆さんは社会にどんな価値を提供できるだろう?

私が社会人になったのは2006年です。皆さんが社会に出るであろう2028年とは、約20年の時差があります。私のキャリア前半は「クライアントの課題を聞き、それを解決するシステムを開発する」仕事でした。しかし10年経つと、求められる役割は変わりました。新規事業を企画段階から一緒に創るDXのパートナー、ヘルスケア事業開発のコンサルティングへと、価値の重心が移っていったのです。

皆さんは、私が10年かけて到達した「DXが当たり前の世界」からキャリアをスタートします。生成AIが「同僚」として、事業変革のアイデア出しや分析を手伝ってくれます。皆さんに求められるのは、既存の事業を変革するDXのさらに先、「そもそも世の中にどんな新しい価値を生み出すべきか?」を発明する力です。

私の時代は「地図を書き換えて」進むことができました。皆さんの時代は「地図そのものをゼロから描く」必要があります。そのために必要な羅針盤こそ、この講義で学ぶデジタルデザインです。

VUCAとは何か

VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。もともとは軍事用語でしたが、2010年代以降ビジネス界でも広く使われるようになりました。テクノロジーの変化(SNS・生成AI)、地球規模の課題(気候変動・パンデミック)、グローバル化(リモートワーク・各国の法規制)の3つが、VUCA拡大の主な要因です。

KEY MESSAGE
価値の源泉は「問題解決」から「問題設定」へ

VUCA時代に価値を生むのは、与えられた問題を効率的に解く力だけではありません。真に価値があるのは、「そもそも解くべき問題は何か?」「誰のために、何を解決するのか?」という本質的な問いを立てる力です。

クイック投稿:あなたのVUCA体感

7分
GOOGLE FORMS / 匿名投稿

あなたの身の回りで「デジタル化されて便利になったこと/不便になったこと」を一言で教えてください。

スマホで右のQRを読み込み、Google Formsに回答してください。匿名です。回答スプレッドシートを当日プロジェクター投影し、教員が上位コメントを読み上げて共有します。

URL 未設定(当日掲示) 所要 3分回答 / 4分共有

講義②:デジタルデザインの定義と5つの機能

25分

デジタルデザインの定義

デジタルデザインは、「デジタル技術と人間中心の視点を活用し、VUCA拡大時代の複雑な課題に対処する学問分野」と定義されます。重要なのは、Web制作やUIデザインに留まらず、ビジネス・社会・生活の「仕組み」そのものを設計することです。単に見た目を美しくするのではなく、複雑な社会システム全体を最適化し、人々の生活に真の価値を提供するための包括的なアプローチです。

2つの意味:羅針盤とエンジン

デジタルデザインには2つの側面があり、両輪を理解することが極めて重要です。「デジタルによるデザイン(Design by Digital)」は、AIやデータ分析といったテクノロジーを「どのように」使いこなすかというエンジンに相当します。「デジタルのデザイン(The Design of Digital)」は、「そもそも何を、なぜ、誰のために」デジタル化するのかという羅針盤に相当します。

私が現場で見てきた失敗プロジェクトの多くは、高性能なエンジンを導入したものの、この羅針盤がなかったために迷走したケースです。この講義では特に後者を重視します。

5つの機能(キーファンクション)

デジタルデザインは、社会に対して5つの機能を提供します。予測(未来の需要やリスクを確率的に予測)、発見(データから未知のパターンや異常を見つけ出す)、効率化(プロセスや資源の無駄をなくし最適化する)、可視化(複雑なデータを直感的に理解できる形に変える)、判断支援(シミュレーションで人間の意思決定を助ける)の5つです。これらは独立しているのではなく、相互に連携して価値を生み出します。

アパレル企業の連携事例

ダッシュボードで売上を見ていた担当者が、あるジャケットが特定都市だけで爆発的に売れていることに気づき(可視化)、SNSデータを分析して原因を特定(発見)。AIが過去事例から全国波及を予測(予測)し、在庫最適化システムが最適配分を提案(判断支援)。最後に、発送指示や通達メールを生成AIが自動作成(効率化)。5つの機能が連携することで、単独では得られない高い価値を生み出します。

QUICK CHECK

Q. VUCA拡大時代において「問題設定」能力が「問題解決」能力よりも重要視される背景として、最も適切なものはどれか。

ペアワーク:5つの機能を関心業界に当てはめる

20分
PAIR WORK / 隣2名
あなたが関心を持っている業界(家業、推し企業、興味業界のいずれか)を1つ選び、5つの機能を当てはめてみよう。

業界の例:コンビニ/スポーツ/音楽/ゲーム/鉄道/医療/教育/飲食/アパレル/物流 など。「これは予測?発見?」と迷ったら、その迷いも含めて隣のペアと議論してください。

進め方

  1. 1分 業界を1つ選び、ノート/タブレットに5列の表を書く(予測 / 発見 / 効率化 / 可視化 / 判断支援)
  2. 7分 各機能に、その業界で「ありそうな or 既にある」活用例を1つずつ書く
  3. 5分 ペアで見せ合い、相手の業界で自分が気づかなかった機能・事例があれば追記する
  4. 7分 全体共有(2〜3ペアを指名)

共有のコツ

「自分の業界では、5つの機能のうち実は使われていない機能はどれか?」を考えると、そこに「未開拓のビジネスチャンス」が眠っている可能性があります。

本日の小テスト

5分

小テストはGoogle Formで配信します。スマホからアクセスし、回答してください。3問構成・所要3分以内です。

SMALL TEST / WEEK 04

第4週 小テスト(3問・3分)

Googleアカウント(千葉工大)でログインして回答してください。回答状況は出席にもカウントされます。

URL 未設定(当日掲示)