本日の到達目標
- VUCAという言葉の4要素を、自分の言葉で説明できる。
- デジタルデザインの「2つの意味」を、羅針盤とエンジンの比喩で説明できる。
- デジタルデザインの「5つの機能」を、身近な事例に当てはめて考えられる。
- 「問題解決」と「問題設定」の違いを、自分のキャリアの視点で語れる。
「決まった地図がない時代」を歩く皆さんに、最初の羅針盤を渡します。VUCA時代に価値を生むのは、与えられた問題を効率的に解く力だけではありません。本質的な問いを立てる力、すなわち「問題設定」の力を、デジタルデザインの2つの意味と5つの機能の中から学んでいきます。
私が社会人になったのは2006年です。皆さんが社会に出るであろう2028年とは、約20年の時差があります。私のキャリア前半は「クライアントの課題を聞き、それを解決するシステムを開発する」仕事でした。しかし10年経つと、求められる役割は変わりました。新規事業を企画段階から一緒に創るDXのパートナー、ヘルスケア事業開発のコンサルティングへと、価値の重心が移っていったのです。
皆さんは、私が10年かけて到達した「DXが当たり前の世界」からキャリアをスタートします。生成AIが「同僚」として、事業変革のアイデア出しや分析を手伝ってくれます。皆さんに求められるのは、既存の事業を変革するDXのさらに先、「そもそも世の中にどんな新しい価値を生み出すべきか?」を発明する力です。
私の時代は「地図を書き換えて」進むことができました。皆さんの時代は「地図そのものをゼロから描く」必要があります。そのために必要な羅針盤こそ、この講義で学ぶデジタルデザインです。
VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉です。もともとは軍事用語でしたが、2010年代以降ビジネス界でも広く使われるようになりました。テクノロジーの変化(SNS・生成AI)、地球規模の課題(気候変動・パンデミック)、グローバル化(リモートワーク・各国の法規制)の3つが、VUCA拡大の主な要因です。
VUCA時代に価値を生むのは、与えられた問題を効率的に解く力だけではありません。真に価値があるのは、「そもそも解くべき問題は何か?」「誰のために、何を解決するのか?」という本質的な問いを立てる力です。
スマホで右のQRを読み込み、Google Formsに回答してください。匿名です。回答スプレッドシートを当日プロジェクター投影し、教員が上位コメントを読み上げて共有します。
デジタルデザインは、「デジタル技術と人間中心の視点を活用し、VUCA拡大時代の複雑な課題に対処する学問分野」と定義されます。重要なのは、Web制作やUIデザインに留まらず、ビジネス・社会・生活の「仕組み」そのものを設計することです。単に見た目を美しくするのではなく、複雑な社会システム全体を最適化し、人々の生活に真の価値を提供するための包括的なアプローチです。
デジタルデザインには2つの側面があり、両輪を理解することが極めて重要です。「デジタルによるデザイン(Design by Digital)」は、AIやデータ分析といったテクノロジーを「どのように」使いこなすかというエンジンに相当します。「デジタルのデザイン(The Design of Digital)」は、「そもそも何を、なぜ、誰のために」デジタル化するのかという羅針盤に相当します。
私が現場で見てきた失敗プロジェクトの多くは、高性能なエンジンを導入したものの、この羅針盤がなかったために迷走したケースです。この講義では特に後者を重視します。
デジタルデザインは、社会に対して5つの機能を提供します。予測(未来の需要やリスクを確率的に予測)、発見(データから未知のパターンや異常を見つけ出す)、効率化(プロセスや資源の無駄をなくし最適化する)、可視化(複雑なデータを直感的に理解できる形に変える)、判断支援(シミュレーションで人間の意思決定を助ける)の5つです。これらは独立しているのではなく、相互に連携して価値を生み出します。
ダッシュボードで売上を見ていた担当者が、あるジャケットが特定都市だけで爆発的に売れていることに気づき(可視化)、SNSデータを分析して原因を特定(発見)。AIが過去事例から全国波及を予測(予測)し、在庫最適化システムが最適配分を提案(判断支援)。最後に、発送指示や通達メールを生成AIが自動作成(効率化)。5つの機能が連携することで、単独では得られない高い価値を生み出します。
Q. VUCA拡大時代において「問題設定」能力が「問題解決」能力よりも重要視される背景として、最も適切なものはどれか。
業界の例:コンビニ/スポーツ/音楽/ゲーム/鉄道/医療/教育/飲食/アパレル/物流 など。「これは予測?発見?」と迷ったら、その迷いも含めて隣のペアと議論してください。
「自分の業界では、5つの機能のうち実は使われていない機能はどれか?」を考えると、そこに「未開拓のビジネスチャンス」が眠っている可能性があります。
小テストはGoogle Formで配信します。スマホからアクセスし、回答してください。3問構成・所要3分以内です。
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