WEEK 09

デザイン思考実践①
― 共感する。問いを立てる。 ―

宿題で集めたインタビュー結果を、チームでテーブルに広げます。共感マップ→ペルソナ→「How Might We(HMW)問い」へと、段階的にユーザーの世界を構造化していきます。本日のゴールは、第10週で発散させる「鋭い問い」を1つ、チームで磨き上げることです。

所要:約95分 形態:チーム実習 持ち物:付箋、ペン、A3用紙、インタビューメモ 事前学習:テーマに関するインタビュー2〜3件完了

本日の到達目標

  • チームでインタビュー結果を共有し、ユーザーの「事実」と「感情」を見える化できる。
  • 1人のペルソナを、共感マップから立体的に作り出せる。
  • 「How Might We」の形で、本質的な問いを1つチームで合意できる。

本日のアジェンダ(95分)

0:00〜0:05オープニング・テンプレートの使い方
0:05〜0:20インタビュー結果の共有(チーム内)各メンバー3分×4〜5名
0:20〜0:45共感マップ作成付箋でSay/Do/Think/Feelの4象限に貼り出し
0:45〜0:60ペルソナ作成代表的なユーザー像を1人、立体的に描く
0:60〜0:75How Might We問いの設定3〜5案出して、チームで1つに絞る
0:75〜0:90チーム間ピアレビュー(隣チームとHMW問いを交換)
0:90〜0:95教員講評・次週の予告

ステップ1:インタビュー結果の共有

15分
TEAM WORK / 15分
各メンバーが3分以内に、宿題のインタビュー要点を共有する
  • 「誰に話を聞いたか」(プロフィール)
  • 「印象に残った発言」を1〜2つ
  • 「観察した行動・しぐさ」で気になったもの
  • 「自分が事前に予想していたのと違ったこと」

聞き手のメンバーは、共感マップに使う付箋を準備しながら聞きます。「これは事実」「これは感情」を意識しておくと、次のステップがスムーズです。

ステップ2:共感マップ

25分

A3用紙を4象限に区切り、ユーザーが「言ったこと(Say)」「したこと(Do)」「考えていたこと(Think)」「感じたこと(Feel)」を、付箋で貼り出していきます。

  • Say:実際の発言。インタビューでの言葉。
  • Do:実際の行動。観察で見たこと。
  • Think:本人が言葉にしなかったが、考えていそうなこと。
  • Feel:本人が感じていたであろう感情。

1枚の付箋に1つの内容。SayとDoは「事実」、ThinkとFeelは「解釈」。チーム内で「これはThinkかFeelか」と議論することで、ユーザー理解が深まります。

共感マップを眺めると、必ず「矛盾」が見えてきます。「Say では便利と言っているのに、Doでは別の手段も使っている」など。その矛盾の中にインサイトが眠っています

ステップ3:ペルソナ

15分

共感マップで見えてきた「代表的なユーザー像」を、1人のペルソナとして言語化します。共感マップが「散らばった付箋の集まり」だとしたら、ペルソナは「1枚の人物紹介ページ」です。

ペルソナの構成

  • 名前(仮)と年齢、立場
  • 1日のスケジュール(典型的な動き方)
  • このテーマに関する典型的な行動・口癖
  • 抱えている悩み・葛藤(インタビュー由来のもの)
  • 本人が言語化できていない「隠れた欲求」(インサイト候補)

架空の人物ですが、「実在しそうな」立体感が大事。ステレオタイプ(「現代の大学生」みたいな粗い括り)に逃げないこと。

ステップ4:How Might We問いを立てる

15分

ペルソナと共感マップから見えてきた「真の課題」を、解決策の方向を狭めない問いの形に変換します。これが「How Might We(私たちはどうすれば〜できるか)」問いです。

HMW問いの作り方

  1. ペルソナの「困りごと」を1文で書く。
  2. その困りごとの「裏側にある真の欲求」を考える。
  3. 「How Might We、(ペルソナ)が、(真の欲求)を実現できるようにするか?」の形に変換する。

良い問い vs 悪い問い

  • ❌ 悪い問い:「How Might We、大学生がもっと勉強するアプリを作れるか?」(解決策=アプリと、目的=勉強を最初から固定してしまっている)
  • ⭕ 良い問い:「How Might We、大学2年生が『自分が成長している感覚』を日常で感じられるようにするか?」(解決策の方向は開かれている、真の欲求が言語化されている)

チームで3〜5案を出し、もっとも「真の欲求を捉えている」「解決策の余地が広い」と感じる1つに絞ります。

ステップ5:チーム間ピアレビュー

15分
PEER REVIEW / 15分
隣のチームとHMW問いを交換し、相互にフィードバック
  • 5分:自チームの問いを隣チームに説明(ペルソナと共感マップも見せる)
  • 5分:交代
  • 5分:受け取ったフィードバックを踏まえ、自チームの問いを再調整

フィードバックのコツ

  • 「この問いだと、〇〇という解決策しか思い浮かばないので、もう少し開けるかも」
  • 「ペルソナの〇〇という側面が、この問いに反映されていないように見える」
  • 「もし自分なら、この問いに〇〇を加えたい/削りたい」

来週への準備

FOR NEXT WEEK
第10週は、本日決めたHMW問いから、アイディエーション→プロトタイプ→ピッチまでを一気に行います
  • HMW問いをチームのGoogleドキュメントに記録。ペルソナと共感マップの写真も保存。
  • 第10週は評価対象です(シラバス上の小テスト1回分)。
  • 持ち物:A3用紙数枚、付箋、太いマーカー、スマホ。プロトタイプ用に段ボール・ハサミ・テープなどがあると望ましい。